江東区を歩こう
江東区ってどんな街?
江東区は東京都の東部、隅田川と荒川に挟まれた位置にあり、東京湾に面しています。
昔ながらと新しさが入り混じる、少し変わった街で、以下の3つのエリアに分けられます。
- 古い寺社が立ち並ぶ「城東エリア」
- 粋と人情の下町「深川エリア」
- 新しい土地に潮風が香る「湾岸エリア」
今回は江東区の中でも面白い歴史を持つ、「木場(深川エリア)」にスポットを当ててみます。

江東区の「木場」というまち
東西線の大手町(東京駅)から東に10分、木場駅があります。
木場公園や、東京現代美術館が観光スポットです。
ここは昔から材木商で賑わった街でした。読んで字のごとくですね。
2年前に高視聴率をマークしたNHK朝の連続テレビ小説の「ととねぇちゃん」。
主人公が幼少期に育った場所です。祖母は「青柳商店」という名の木材屋の女将でした。
多くの木材が並び、丸太を水路を使って運ぶ当時の風景がたくさん描かれていました。
自慢の景勝地!
水路と木材で賑わったまちは、実は江戸きっての景勝地でした。
それを象徴するのが、江戸時代に流行した浮世絵です。
安藤広重の『名所江戸百景』の「小名木川五本まつ」や葛飾北斎の『富嶽三十六景』の「深川万年橋下」「本所立川」には、当時の深川の風景が描かれています。
ちなみに、安藤広重の小名木川五本まつは、江東区の図書館貸出カードのデザインにもなっています。
上の画像がそれですが、なんとも大胆な構図ですね。
深川の歴史
深川一体が木材置き場として選ばれ他のには、以下のような理由がありました。
- 木材は必需品なので江戸の中心からあまり離れていない場所が望ましい。
- 木材は水につけておけば消失せず火災延焼の原因にならない。
- 置き場には広大な土地が必要。
- 多くの水路によって木材の搬送が容易になる。
こうして深川には新大橋、永代橋が新しくかけられて便利になり、繁栄していきました。
その後何度か周辺で移転することになるのですが、最終的には現在の木場あたりで落ち着きます。
材木問屋たちが自ら土手を築き、水路を掘り、たくさんの木置き場をつくりました。
「木置場」を略してこの地を「木場」と呼ぶようになっていったのです。
他にも東陽、千石、石島、扇橋、冬木、富岡、三好町に広く分布していきました。
江戸が築いた木場の街
家康は江戸幕府の所在地(=首都)を、日本橋川以北の本町界隈とします。
江戸の町を拡大するために南の開発に着手、現在の中央通りに沿って新橋あたりまでを、城下町の中心地としました。
城に物資を運ぶために掘りを縦横に作り、沼沢地や海を埋め、橋をかけました。
江戸の人口が増えるにつれて人々が生活するための家が必要となり、木材の需要は急増。
全国各地から大型船で木材が運ばれました。
水上輸送の関係から当時は神田、日本橋、八丁堀などの川沿いが中心となっていました。
元木場から木場、新木場へ
しかし、『火事と喧嘩は江戸の華』と言われるとおり、江戸は昔から火事の多い町でした。
町中の材木の高積みも火事を大きくする原因とされ、材木置き場を移転することになりました。
神田佐久間町、日本橋材木町、三十間堀周辺の材木商たちが、隅田川東岸の深川へ移ったのです。
これは、のちに「元木場」と呼ばれる地名で、現在の佐賀町あたりになります。
大混乱の末に新木場へ
明治維新、関東大震災、太平洋戦争を経て、戦後復興の高度経済成長にかけて怒涛の時代を乗り越えてきた木場の材木商たち。
しかしこの他にも様々な問題が浮上し、移転を検討せざるをえなくなりました。
問屋、仲買から加工業者までが一体になって営業する形態は、用地の広さが重要です。
加えて、地盤沈下の懸念、木材の積み込みや荷おろしに道路の使用が禁止され、搬入出が困難になりつつありました。
根本的な話をすれば、海の埋め立てを繰り返すうちに、木場は海浜の地ではなくなっていたのです。
東京湾に入港するコストと労力は大きなものでした。
1974年、ついに東京湾の新木場1~3丁目に移転します。
水害から町を守るための治水対策、さまざまな問題点の改善から、木場は江戸以来約270年の材木商の歴史を閉じたのです。
現在の木場
木場の跡地はどうなったのでしょうか?
現在は、多くの方の憩いの場となっています。都立木場公園です。
今でも毎年10月に、ある伝統芸能のイベントが開かれています。
それが「木場の角乗」です。
水辺に浮かべた材木を、鳶口ひとつで乗りこなして筏に組む、という仕事の余技から発生したもので、東京都指定無形民俗文化財として指定されています。
職人の仕事の技が発展して芸能と化し、江戸時代から現代に続いているだなんてなんだかロマンを感じてしまいますね。
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